ダイスマン全仕事
仕事、といいつつ網羅したのはスタンダップのアルバムだけです(今のところ。でも当サイトで言う「今のところ」は2回死んで生まれ変わってから、ぐらい「今のところ」だ)。主演映画とかスタンダップのビデオとかなぁ、そんなもんいちいち見てられっか!見たけど
※以下のアルバムには全て、基本的にダイスマンの愉快なおしゃべりばかりが収録されております。お買い求めの際にはご注意くださいませ。まァ唄が入ってるのもあるにはあるけど。でもダイスマンの唄なんか聴きたいか?オレは聴きたかったよ!

DICE (1988)
かっこいいジャケットだなあ。マディソン・スクエア・ガーデンもハリウッドも、まだまだ遠い話だった頃。ダイスマンの原点はコメディ・クラブにあった。ダイスマンをブレイクさせた「マザー・グース」の卑猥な替え歌、似てるんだか似てないんだか判らないスタローン、デニーロ、ジェリー・ルイスの物真似など、持ちネタは既に登場しつくしている。この段階ではまだ荒削りだが、いや結局今日に至るまで荒削りなんだが、それでも世はダイスマンに、元祖過激派スタンダップ、レニー・ブルースの再来を見て騒然となった…ような気がする。たぶん。単なる下品なバカだということはまだバレてなかったはずだ。いやまァ、すぐバレるんだが。

The Day The Laughter Died (1989)
第2作目にして最高傑作。『笑いが死んだ日』とのタイトルどおり、ダイスマンは既存のスタンダップ・コメディのスタイルを解体していく。と書けば凄いことをやってるようだが、実のところは勝手かつデタラメきわまりない喋りと客いじりが縦横無尽に炸裂しているだけのこと。まァいじられたことに憤慨して席を立つ客も2人ほどいるが、それもネタのひとつというか。総じてお客さんは非常にダイスを愛しており、なぜかハッピーな雰囲気の中でダイスマンは実にリラックスして下品な悪態をつき、小学生並みの下ネタを連発する。こうしたオーディエンスとの信頼関係が次作での狂ったコール&レスポンスに結実していくのだが、しかしその関係は実に脆弱なものだったのだ。とか何とか難しいことを書いていたら頭痛がしてきました。2枚組。ながい

DICE RULES (1990)
おそらくこのアルバムがリリースされた頃(つまり『フォード・フェアレーン』が公開された頃)がダイスマン的にはキャリアの頂点だったといえるだろう。マディソン・スクエア・ガーデンに25,000人を集めたライブ。ダイスマンが何か一言喋るたびに客が湧く湧く。しかしまァ、確かに勢いは買うが全体的にネタは大したものではない。クライマックスは25,000人とコール&レスポンスする下ネタマザー・グース。こればかりはさすがに震えがきます。同名の映画もあり。映像を見てみると満場の客が明らかに低能ばかりで暗〜い気持ちになる。そういう目で見れば、これはマス・ヒステリーの見本のような作品だろう。なお、このアルバムつまりMSGでのライブを境に、ダイスマンのキャリアは面白いように急降下していく。

40 Too Long (1990)
主演第一作『フォード・フェアレーン』は山より高く大失敗。監督レニー・ハーリンはそれでもすぐ後に『ダイ・ハード2』があって助かったが、ダイスマンは尻に火がついて大炎上していた。そんな中でリリースされたのがこのアルバム。新しいことは何ひとつやってないんだが、女性への攻撃が若干ソフトになっている。たぶん惚れた女でもいたか何かだろう。最後にマジもマジ、大マジのラブソングを熱唱するダイスマン。当時大学生だったオレは、そろそろこの男にも見切りをつける時かもしれんと覚悟した。だが敢えてそうするまでもなく、ダイスマンは勝手に坂道を転がり落ちていく(しかも猛スピードで)。

The Day The Laughter Died Part II (1993)
同じような過激派コメディアンならもっと喋りが上手くて筋も通ってるデニス・レアリーを見つけたし、ダイスマンのことなどすっかり忘れてオレは平和に暮らしていた。しかし何を間違ったかタワーレコードで投げ売られていたこの新譜を、オレは腰を抜かしながら1,200円で購入したのである。ジャケットからも判るやさぐれっぷりはレコードの中身でも全開。もはやネタも何もない、単なるお客さん罵倒大会である。どこに行っても「マザー・グース」を要求されることに本気で愚痴をたれてみたり。客も完全に凍り付いて、失笑すら漏らさない。だからある意味ではアバンギャルドで面白いと言えないこともないんだが、やはり失敗作は失敗作である。緊張感はあるんだけどな。最後はお客さんと大喧嘩に突入してブツッと終わるし。

Face Down, Ass Up (2000)
90年代初頭に活躍した昔懐かしいラップグループ、2ライブ・クルーの"As Nasty As They Wanna Be"を思い起こさせるジャケットだが、騙されてはいけない。これは去年つまり2000年、いよいよ21世紀という年にリリースされたアルバムである。しかし2ライブ・クルーがブイブイ言わせていた頃というのはつまりダイスマンがブイブイ言わせていた頃でもあるわけで、それを考えると変わらないというべきか進歩してねえというべきか。勿論後者だろう。当然ネタも昔と一緒。10年近いブランクの間に一体何があったのか考えてしまう。特に何もなかった、というのが真相だろうけれども。

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