キャスト (中年率90%)

ジミー・ドイル刑事

通称ポパイ。鬼刑事。職業柄、常にあっちこっちに目を走らせていることからポップアイ→ポパイと呼ばれる。別にホウレン草が好きとか女房がシェリー・デュバルとかそういうわけではないらしい。ふとしたことから史上最大の麻薬密輸計画を嗅ぎ付け、見てるこちらがフラフラになるほどのヤケクソな執念で計画の首謀者・シャルニエを追う。目的のためなら手段を選ばない仕事の鬼っぷりで、かつて同僚の刑事が巻き添えを食って殉職(した件を役人からネチネチ突っ込まれる)。モデルになったのはニューヨーク市警麻薬課のエディ・イーガン刑事(写真右)。イーガンはこの映画でポパイ刑事の上司を演じているので(ややこしいな)、この人についてはこの↓ずっと下をご参照ください。演じたジーン・ハックマンは当時40になってまだこれといった代表作がなく、ジェームズ・カーンやピーター・ボイルが蹴ったポパイ刑事役に食らいついた。オシッコも出ないほど寒いNYでの撮影中、キチガイ監督フリードキンに怒鳴られたり罵倒されたり小突かれたり、いろいろ苦労はあったがこのポパイ刑事役でアカデミー主演男優賞を受賞。おかげで今日のハックマンがあるのだった(たぶん)。

バディ・ラッソ刑事

いつも陰気な顔をしていることからクラウディ(曇り空)と呼ばれる。これはモデルになったソニー・グロッソ刑事(写真右下)が実際に呼ばれていた仇名だが、まァ相棒も相棒なので暗い顔になるのもしょうがない話だろう。主な業務はポパイ刑事のお守。演じるロイ・シャイダーは「グロッソ刑事に似て陰気な感じだ」というだけの理由でオーディション一発合格。以後は言わずと知れた『ジョーズ』(75)『オール・ザット・ジャズ』(79)『ブルーサンダー』(83)など出演作多数。殆どの出演作において、何となく自分は関係ないような顔でシレッとしている世界一の傍観者俳優(オレ命名)だが、この人が感情を表に出したり、自分から物事に取り組んだりする映画を見ていると非常にドキドキするのはなぜだろうか。あとこの人、若いときから中年っぽいイメージがあって、きっとまだ40過ぎぐらいじゃねえかと思って調べてみたら何と今年で70である。ビックリしたなあ。

アラン・シャルニエ

フランスの麻薬王。ヘロイン50キロ強で3,200万ドルという史上空前の大密輸を飄々と計画する。警察の捜査の手が延びていることに早い段階で気づき、尾行するポパイ刑事をまんまと撒いたりするプロ中のプロ。美食家で、金髪の若い嫁がいる(あんまり関係ない)。最終的には取引現場に踏み込まれるが、結局は逃げ延びて事件関係者では唯一行方不明。一説ではフランスにて存命とされる。モデルになったのはヨーロッパ最大の麻薬シンジケートのボス、ジャン・ジュアン(写真右)。渋谷の「ジァン・ジァン」とはぜんぜん関係ない。と思う。「ジャイアント」と呼ばれたジュアンは50万ドルの大金を持って、映画と同じく逃亡。事件から6年後の67年にパリで逮捕された。フリードキンはテレビでかかっていた仏映画『昼顔』に出ていたフェルナンド・レイを見て、「こいつだ!シャルニエを演じられるのはこいつしかいねえ!」と電撃決定。しかしレイが『昼顔』に出ていた事実はなく、迎えに出た空港でようやく人違いに気づいたフリードキンはプロデューサーに電話して「どうなってんだお前!なめてんのか!」と逆ギレしたという。

ピエール・ニコリ

シャルニエのヒットマン。その冷酷非常ぶりからサディストに思われがちだが実は生粋のマゾで、売春婦に鞭打たれてえらく興奮したりする(というシーンは結局カットされたが)。さんざん鞭打ってもらっておいて平気で料金を踏み倒し、なおかつ売春婦を張り倒して立ち去るという極悪非道ぶりを仕事でも発揮、ポパイ刑事を襲撃したうえに地下鉄をカージャックして逃走、乗り合わせていた警官を射殺、さらには運転手を恐怖のあまり心臓麻痺で死亡させるという獅子奮迅の大活躍を見せるが、最終的にはポパイによって背後から射殺される。演じたマルセル・ボザッフィはフランスの俳優で、フランスやイタリアの映画に数多く出演。英語の下手さが逆に不気味なリアリティを醸し出している。ニコリのモデルは実際に「ジャイアント」の配下だったコルシカ人、フランソワ・スカリア。この人がマゾだったかどうかは不明。

サルバトーレ・ボカ

通称サル。イタリア人。シャルニエとNYの大物ギャング、ジョー・ワインストックとの橋渡し役を勤める。普段は嫁と2人で食堂を営んでいるが、飲み屋で札ビラを切っていたことからポパイ刑事に目をつけられた。白昼堂々ティファニー宝石店を襲撃、その他にも殺人罪で起訴されたりとなかなかの犯罪者だが、その割には女房のアンジーに頭が上がらない小心者で、帰りにピザを買ってこいという電話のやり取りをポパイ刑事に盗聴されて大爆笑される。麻薬取引現場での銃撃戦でラッソ刑事に撃たれ、死亡。モデルになったのはイタリア人、パッツィ・フーカ(右)。こちらは殺されることなく、普通に逮捕。

ジョー・ワインストック


NYの大物ギャング。サルが持ち込んだフランスからのヘロイン密輸話に乗り、その関係を突き止めたポパイたちを小躍りさせた。大規模な麻薬取引に関わるのが初めてなために気持ちがはやるサルを諌めるが、結局その甲斐もなく取引現場に踏み込まれて現行犯逮捕。大陪審まで争い、証拠不十分で釈放。モデルは実際にNYの麻薬業界に君臨したギャング、アンジェロ・トゥーミナーロ(写真が手に入りませんでした。スンマヘン)。パッツィ・フーカはトゥーミナーロの甥だった。トゥーミナーロの組織はこの映画で描かれた、いわゆる「フーカ事件」の後に勢いを失い、やがて崩壊した。

アンジー・ボカ

サルの嫁。まだ19歳。万引きで捕まった前科がある。普段はサルが経営する食堂の女将だが、ナイトクラブではブロンドのヅラを装着する。それぐらい別にいいじゃねえかと思うが、この人がヅラを取った瞬間、張り込み中のポパイ刑事とラッソ刑事がたいそうビックリしてたんだからしょうがない。事件とは直接関わってないと思うんだが、なぜか素行不良で逮捕(すぐ釈放された)。実際の事件においてはパッツィ・フーカ(サルのモデル)が麻薬で稼いだ金を使い込み、夫をイライラささせた。モデルになったバーバラ・フーカは写真右。ていうかこんな写真見たい人っているのか?

ルー・ボカ

サル・ボカの弟。数々のヘボい犯罪に手を染めたあと、現在はゴミ処理学校で勉強中、という正真正銘のショッパイ男。ヘロインの密輸に使用する中古車を買いに行ったり、サルのパシリとしてよく働くが、結局は麻薬取引現場で逮捕。罪状は共同謀議と麻薬所持。実は大した働きをしなかったせいかどうかは知らないが、刑期は短縮された。モデルは右のトニー・フーカ(パッツィ・フーカの兄)。役者が本物と妙に似てる。

アンリ・デブロー

フランスのTVスター。諸々の借金で首が回らなくなり、シャルニエの計画に加担する。デブローの乗った自動車にヘロインを隠してアメリカに入国させ、自分は手ブラで米国入りというのがシャルニエの麻薬密輸計画だった。芸能界と暗黒街の黒い関係がよく判るエピソードである。しかし事態が思わぬ方向へ進展したことから完全にビビり、計画の最後の最後で離脱するという小心者ぶりを遺憾なく発揮。が、結局は逃げ切れずに懲役4年(共同謀議)。モデルになったのはフランスの俳優ジャック・アンジェルバン(右)。彼が逮捕された際にはイブ・モンタン、モーリス・シュバリエをはじめとするフランス芸能界の大物が刑期の短縮を訴える請願書を書いたが、その訴えはアメリカの最高裁で却下された。アンジェルバンはその後泣かず飛ばず。まァそりゃそうだよな。


サイモンソン部長

NY市警麻薬課を取り仕切る、ポパイとラッソの上司。ふたりにいいようにパシられたりするが、この上司を演じているのがポパイ刑事のモデルになったエディ・イーガン。かつては野球選手も志したスポーツマンだったが、風呂場で転んで野球の道を断念…したのはジャイアント馬場だろう!いいかげんなこと書くな!映画で見る限りでは温和な人物に見えないこともないが、実際は捜査のためなら暴力やワイロも厭わない猛烈なデカで、しかも筋金入りの差別主義者だったという。役者およびコンサルタントとして『フレンチ・コネクション』の現場に出入りしていたイーガンはフリードキンと一緒になってハックマンに教育的指導を入れまくった。警察をクビになってからは映画界で活躍した、というが要は総会屋みたいなもんだったじゃないのかと思う。95年11月、ガンで死去。享年65歳。

マルデリッグ

ポパイとラッソの捜査に合流するFBN(連邦麻薬取締局)の役人。使えない。そのくせポパイ刑事には事あるごとにイヤミを言いつづけたため、結局はシャルニエと間違われてポパイ刑事に射殺されるという実に間抜けな最期を遂げる。味方に撃たれて死んだという事実はたぶん闇に葬られたことだろう。完全にかませ犬というか監督フリードキンの悪意を一身に受ける実に損な役回りだが、モデルになった役人はここまで嫌な奴ではなかったらしく、殺されずに済んだ。FBNはFBI(連邦捜査局)と混同されがちだが、実は全然別物とのこと。勉強になるなあ。まァいろんな役所があるものでございます。


クライン
マルデリッグの相方。こちらもあまり使えない。取り柄といったらマルデリッグと違ってイヤミを言わないことぐらいか。演じているのはラッソ刑事のモデルになったソニー・グロッソ(もとNY市警麻薬課勤務)。この映画出演を契機に映画業界入り、フリードキン監督の『クルージング』(80)にも出演したほか、映画やTVシリーズのプロデューサーとして活躍。まだ生きてます。この人が司会を務める30周年記念TVスペシャルはDVDにも収録。とは言え、別に普通のオッサンなのであんまり嬉しくもないのだった。


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フレンチ・コネクション あらすじ&みどころ

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