WOLVERINE
ウルヴァリン



本名ローガン。あとは不明。超回復能力ヒ−リング・ファクターを持ち、いかなる怪我、病気からも即座に回復。カナダが誇る超人兵士開発プロジェクト、ウェポンX計画の被験体。両手の甲から世界最硬の金属、アダマンチウム製の鋭利な爪を3本伸ばし、すべてを切り裂く。この爪は毎回毎回手の甲を突き破ってジャキーンと出てくるんですが、じゃあ毎回大ケガじゃん、と思ったらあなた!そのためのヒ−リング・ファクターなんですねえ。だから手に穴が開いてもすぐに塞がってしまうんですな。よく考えられております。ウェポンX計画により記憶を操作されており、本名、年齢、出身等、全て不祥。ただ断片的に残っている記憶によればCIAの工作員として働いたり、カナダの山奥でプー太郎として暮らしたり、スペイン独立戦争でヘミングウェイとダチになったり、日本でサムライだったりと実に多彩すぎる経歴を持つ。まァこのへんの記憶は後から植え付けられたものかもしれず、全部が全部本当だとも言い切れないんですが(そりゃサムライていつの話だよ)ヒ−リング・ファクターには加齢を抑える効果もあるため、少なくとも第2次世界大戦中にはすでにいいオッサンであった。戦後のある夜、飲んだ帰りにカナダ政府筋のエージェントに拉致され、全身の骨格にアダマンチウムを無理矢理移植されたうえ、上記の通り記憶および人格を好き勝手にいじり倒されて暗殺マシンとしての訓練を施される(写真右)。これがウェポンX計画であった(この辺りの経緯が描かれたマンガ『ウェポンX』は大傑作。小学館から邦訳も出てます。たぶん絶版だがまだ売ってるとこには売ってますので大至急読むように)。X-MENの生活するマーヴル・ユニバースでは各国がその手の人工スーパーヒーロー造りに血道を上げていた時期がありました。冷戦時代が終わってあまりそんな話も聞かなくなりましたが。というわけでカナダ政府に改造されたローガンは研究施設から脱走、全裸で雪山をさまよっているところをカナダ政府の立ち上げたスーパーヒーロー・チーム、アルファ・フライトに拾われる。けっこういろいろ揃えてるな、カナダ。やっぱり油断ならん国だ。そんなアルファ・フライトでハルクと闘ったりしていたローガンだが、ある日チャールズ・エグゼビア教授、つまりプロフェッサーXから、君いい体してるね、X-MENに加入しないかとの勧誘を受ける。どうもカナダにいるとロクなことがないし、それにアメリカに行けばマイケル・ジャクソンにも会えるじゃんと判断した(してねえよ)ローガンは二つ返事でOKし、大ピンチに瀕していたX-MENのオリジナルメンバー救出作戦を見事に成功させる。それからはメンバーとの交流の中で、一度は失った人間の心を取り戻しつつ今日に至るわけですが。最初の頃は単なる下卑たオヤジといった風情でした。コンビニでペントハウスを立ち読みしたり。まァそんなぐらいオレだってやりますが、それでもエロ本なんて読まないのが普通だったアメリカン・コミックのヒーローとしては十分下品だったわけですな。そんな風来坊のウルヴァリンがなぜX-MENにいつくことになったかといえば、それはズバリ言って同僚のジーン・グレイに惚れちゃったせいであります。まァ判らんでもないさ、なんせ相手はファムケですから(ファムケじゃねえよ、マンガなんだからよ)。割とそういう可愛いところもあるんです。しかしそんなジーンはすでにチームリーダーのサイクロップスといい仲であった。ジーンはジーンで確かにウルヴァリンに魅かれるところはあるんだがちょっとねえ。毛深いしチビだし乱暴者だし。放っておくとすぐに暴走するし。そんなわけで失恋しつつもチームには残ったローガンだが、この人も女運は実に悪く、東京に渡ってヤクザの娘ヤシダ・マリコと結婚するも、マリコはヤクザの抗争に巻き込まれてフグ毒を盛られ、速攻で死亡。ローガンもこれはさすがに凹みました。せっかくX-MENを東京に呼んで結婚式まであげたのに。そんなこんなで本人も頑丈なだけあっていつもいつもひどい目に遭います。切られたり叩かれたり撃たれたり。一度なぞチームの仇敵マグニートーの要塞に殴り込みをかけるも、金属を意のままに操るマグニートーにウルヴァリンは全身のアダマンチウムを無理矢理引き剥がされ、半死半生の重傷を負います。直後に判明したところによれば、ウルヴァリンが両手の甲から展開する3本の爪というのは彼が生まれた時から備わっていたもので、アダマンチウムは骨でできた爪を覆っていたにすぎなかったわけであります(写真左)。アダマンチウムを取り上げられて数年間、この骨剥き出しの爪だけを武器に闘ってきましたウルヴァリンですがある時、魔人アポカリプスの後継者を自称するジェネシス(サイクロップスの息子ケーブルの息子。だからサイクロップスの孫だ。ああめんどくせえ)に拉致されます。ウルヴァリンに再度アダマンチウムを注入して自らの舎弟にしようと企てたジェネシス、ですがウルヴァリンの肉体はなぜかアダマンチウムに対して拒否反応を示し、さらにその副作用でウルヴァリンはなぜか退化の改新。もはや人語も解さなければ鼻もないただのバカになり果てたローガンにジェネシスは叩き殺されます。まァその後半年ほどのリハビリでなんとか人間の姿には戻りましたが。そういうわけでウルヴァリンの歴史というのはいかに人間でありつづけるかという闘いの歴史であったわけです。放っておいたら獣に逆戻りしてしまうわけですから。しかも自分が何者なんだかさえハッキリしないわけだし。それこそ名前も判然としないんでは保険証ももらえまい。最近になってようやくアダマンチウムも再注入、剥がされたのが93年ですから実に7年ぶりの快挙でした。ていうかさっさとやれ。なおアダマンチウムというのはマーヴル・ユニバースにのみ存在する架空の金属であります(オレはほんとにあるもんだと…まさかそんな、思ってたさ、悪いか!)。キャプテン・アメリカが持ち歩いている星条旗模様の盾にもアダマンチウムが入ってます。オレも一度は入れたいものであります。アダマンチウム。でも重いんですよ割と。ウルヴァリンの体重がアダマンチウム抜きで200ポンド(90.8kg)、これがアダマンチウム込みですと300ポンド(136.2kg)ですから。けっこう大変だろうな。飛行場のゲートなんか一生通してもらえないし。サウナとか入ったら地獄を見そうだし。そんなわけですからヒーローというのも決して楽じゃないんであります。





映画版ウルヴァリンは、え〜、ご覧のとおり本物ですヒュー・ジャックマン、耳慣れない名前ですがそれも納得、オーストラリアの俳優ですと。この『X-MEN』でハリウッドデビューらしいんですが。まァ経歴は置いといても見た目だけで3000点さしあげたい仕上がりでございます。映画でもきちんと両の拳を鋭利な刃物がジャキーンと突き破ります。それに何しろこの左右にピョンピョンと撥ねる寝ぐせ。そしてモミアゲ。何と言ってもモミアゲ。これは映画版の監督ブライアン・シンガーも言っておりましたが、結局ウルヴァリンというキャラクターも25年営業してますから、あんまりイメージを壊したらファンに失礼だろうと。いいこと言いますねえ。実によく判っておる…いや待てよ、そんなこと言うわりにマグニートーはどうなんだ。あんな内臓悪そうなオッサンがマグニートーだなんてオレは信じないよ!あとローグ!なんであんな中学生みたいなのがローグなのよ!…まァそのへんはもうキリがないのでよしますが、とにかくそれらの不満を補って余りあるほどにこのローガンは本物であります。確かにもうちょっと背が低いほうがよかった(マンガでは150cmとちょっとぐらい)もっと前屈みじゃないととか、もっとガラガラ声で喋ってくれ(これはかつてテレ東で放映されたアニメ版の影響ですな)とかトレードマークの葉巻はどうしたとか、けっこう文句あるじゃねえか!どうするオレ!ただそれだけガタガタ言いたがるファンを納得させるだけの風貌がこの人、えーそうそう、ヒュー・ジャックマンには備わっておりますよ。しかし実は最初からこの人に決まっていたわけではなくて、当初は最近『ミッション:インポッシブル2』に悪役で出演してますダグレイ・スコットなる俳優で企画は進んでいた模様。でも『M:I-2』と『X-MEN』の撮影時期がかぶってしまったために『X-MEN』は降板。もったいねえなあ…でも写真なんか見るとこっちは全然ウルヴァリンに似てないからまったく問題ないんです。なんかパッとしねえ俳優だし。噂の段階ではメル・ギブソンとかラッセル・クロウの名前が浮かんだり消えたりしていました。今回の『X-MEN』、プロデューサーが『リーサル・ウェポン』シリーズでおなじみの監督リチャード・ドナーのカミさん、ローレン・シュラー・ドナーですから、もしかしたらそのつながりでメル・ギブソンもあり得る話か、と思いましたが考えすぎだったみたいですな(しかしメル・ギブソン、最近じゃ四代目バットマンに決定か、なんて話もあって、やけにマンガ関連で名前が出ますね)。まァとにかく今回の実写版ウルヴァリン、何といっても最大の快挙はウルヴァリンカットが現実にも可能だということを実証した点に尽きるでしょう。これでこの秋は日本中に頭の左右をピンピン立てた老若男女が出現する、わけねえだろ!
←これがダグレイ・スコット。ダメだダメだ、全然似てねえよ


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